2007 Fiscal Year Annual Research Report
農村他出子弟の農村地域資源保全への参与条件に関する研究
Project/Area Number |
18780178
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
芦田 敏文 National Agricultural Research Organization, 農村工学研究所農村計画部地域計画研究室, 研究員 (70414448)
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Keywords | 地域資源保全 / 他出子弟 / 帰省 / 農作業手伝い |
Research Abstract |
本年度は,農村に居住する農家側が他出子弟に対して期待する役割・支援の内容について,複数地区における現地実態調査を行った。 福岡県他の複数地区において,農村地域資源の保全管理活動に関する実態調査(地区代表者に対するヒアリング調査)を行った。しかし,地域社会(自治会・区レベル)が実施している資源保全に関する共同作業(用水路・排水路・ため池・農道・共有施設・河川等の清掃・草刈り作業)に出役している事例は,確認されなかった。また,広島県の中山間直接支払いの集落協定組合における活性化計画策定会議では,活性化計画に他出子弟を位置づけることに対して,否定的な意見が多数を占めた。 しかし一方で,各農家の農作業従事というレベルにおいては,他出子弟の関与は確認される。稲作では,種まき・田植え作業において多人数による組作業が必要とされる。同居家族数が少ない農家では,他出子弟の農作業従事が営農継続に大きな役割を果たしている。これらの作業の農家外への委託による作業集積の進展は,他出子弟の農作業従事を減少させる方向に作用する。 以上から,「むら」レベルで実施する資源保全活動については,農村側から他出子弟に対する出役期待は小さいといえる。しかし,むらの労働力が本年度の事例地区より枯渇している地区においては,他出子弟への期待が生じている可能性があることに留意する必要がある。一方,「いえ」レベルで実施する農作業(営農継続を通じて農地資源保全に寄与する)については,担い手への作業集積が進んでいない地区において,農村側から他出子弟への出役期待は大きく,また他出子弟もそれに対応している実態があるといえる。 本研究の最終年次となる平成20年度は,上記考察から,本年度の事例地区より労働力が枯渇している地区の現地調査を実施するとともに,農家・他出子弟の意向について,コンジョイント分析等を用いた定量的な分析を行う。
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