Research Abstract |
同一条件下における各種赤土流出抑制対策の比較・検討:沖縄県石垣島の農地において,赤土流出防止対策の現地観測を行った.これまで実際に営農されているサトウキビ畑(斜面長約80m,傾斜約3%)において,畑を複数の区画に仕切り,裸地区,サトウキビ慣行栽培区,減耕起栽培によるサトウキビ慣行栽培区,野菜の間作(カバークロップ)を伴うサトウキビ慣行栽培区,サトウキビ不耕起栽培区,そして牧草区の6種類の営農形態で,土砂流出量の同時計測による比較試験を行った.測定方法は現有の転倒マス式雨量計,フロート式水位計,メモリー式濁度計,自動採水器,パーシャルフリューム(流量計)を各試験区に設置して,降水量,流量,浮遊土砂濃度の長期連続計測を行った,なお,計測されたデータは現有の携帯電話転送システムを用いて,大学などの遠隔地においても取得できるようにした.採水された試料は東京工業大学へ空輸し,浮遊土砂濃度,粒度,栄養塩濃度(窒素・リン)を現有の分析装置を用いて計測した.また,上空からの画像を適時撮影および画像解析し,作物または残渣による被覆率を測定した.その結果,作物の被覆,地表面の残渣被覆,植生帯,マルチング,そして不耕起栽培による微細土砂流出量の削減効果を定量的に把握および比較・検討できた. 安定同位体を用いた流域における水・土砂・栄養塩動態の検討:沖縄県石垣島名蔵川流域を対象として,流域内の主要な地点において土壌,堆積物を採取し,炭素,窒素の安定同位体比を分析し,物質の発生から流下までの一連の動態を追跡した.土壌試料はサトウキビ畑,パイナップル畑,牧草地,水田,森林というように土地利用別で採取した.また,堆積物試料は各畑に連結されている河川にて採取した.それらの試料は現有の安定同位体比質量分析装置を用いて炭素および窒素の安定同位体比(δ^<13>Cおよびδ^<15>N)およびそれらの割合(C/N比)を測定した.これらの安定同位体比の分布状況から農地,放牧地,森林などの発生源から河川への土砂・栄養塩流出の輸送形態を把握することができた.
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