2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダムの劣化における安全・安心のための破壊解析手法に対する検討
Project/Area Number |
18780183
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西山 竜朗 愛媛大学, 農学部, 助教授 (30294440)
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Keywords | 農業工学 / 地盤工学 / 地質工学 / 土木材料 / 解析・評価 |
Research Abstract |
長期の供用を経てきたダムでは、諸施設の劣化により安全性が懸念されるに至っている。改修計画では、「劣化の現状が危険に対してどのような位置付けにあるのか」すなわち進行性破壊の機構を十分に知った上での判断が求められている。本研究では、既設ダムの劣化による危険の有無の判定を目的とし、数値解析を援用しながら、経験的に知られている破壊機構に矛盾することのない、実用的な解析手法を確立しようとしている。本年度に得られた成果は次の通りである。 1.ダムにおける劣化の現状把握を目的として、必要に応じて現地調査を含めつつ、事例の収集を行った。その後、劣化様式の整理を行い、その過程でロックフィル材劣化の評価手法を提案するに至った。劣化事象全般を十分に整理するためには、今後進める解析との同時進行によるさらなる試行錯誤を必要としている。 2.ダム設計理論および手法に関する情報を収集した。設計基準書やダム工学専門書のような書籍の他、実ダム固有の記録、さらには一般に普及している構造力学や土質力学に関する書籍を収集・吟味した。これらの情報については整理するという段階には至っていないが、上記と同様に、次年度以降に解析との同時進行による整理を進める予定である。 3.上記の情報のうちから把握された、最近の設計基準でも採用されている斜面安定解析の古典的手法について、有限要素法による弾性解析との比較を基本としながら、手法の妥当性に対する検討を行った。その結果、古典的解法で与えられている仮定は妥当でないという結果が得られた。 4.有限要素法による構造解析プログラムの基礎部分の作成を進めた。当初計画では対象を脆性破壊および塑性変形としたが、本年度は特に前者に重きを置いた。また、プログラム作成過程における試行計算から、計算で採用すべき解析条件、特に境界条件と破壊規準に関する基礎的な知見が得られた。
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Research Products
(4 results)