Research Abstract |
ニューラルネットワークを利用した実測値に基づく沈下予測 本研究は, 早期における実測値に基づく圧密沈下予測手法の構築を目的として, ニューラルネットワークを用いた圧密沈下の予測手法について検討した. 本研究で使用した3通りの学習パターンの中で, 沈下速度の収束に着目したパターンの予測結果が最も精度が高かった. その予測法を使用することにより, 沈下量比40%時点のデータで比較的精度の高い沈下予測を行うことができた. このことから, 適切な規則性を有する教師データを学習させることにより, 早期の圧密沈下予測を可能とすることが分かった. また, 本研究では, 教師データとしてスプライン補間処理による等時間間隔のデータを使用した. 予測結果は教師データの元となる実測値の測定精度に大きく影響を受けることから, 現場におけるデータの測定およびデータの処理には細心の注意が必要である. 本研究で採用したパラメータ(gain : 1.0, 学習率 : 1.0, 中間素子数 : 10, 学習回数 : 10万回)を用いることによって, 概ね良好な予測結果が得られることを確認した. さらに, スプライン補間におけるデータ分割数は20で十分精度の良い沈下予測結果が得られた. 圧密による砂-粘土混合土の微視的構造の変化 地盤を構成する土粒子および間隙の微視的な挙動(移動・閉塞)が集積した結果, 地盤の巨視的な挙動(圧縮・変形)として現れる. 土粒子の形状,大きさおよび種類が多岐にわたること, 粘土粒子の電荷・化学的作用, またその間隙分布構造は不均質であること等の理由から, 結果として地盤の圧縮・変形は複合的な挙動となっている. 本研究は, 練返し状態の有明粘土に豊浦標準砂を種々の割合で混合した粒度組成の異なる試料を用いて段階載荷圧密試験を行い, 得られた圧密試験結果を基に水銀圧入型ポロシメーターと走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて試料の微視的構造を観察し, 混合土の圧密や砂分含有量に起因する間隙構造の変化について検討した. その結果, 圧密によって破壊されるのは団粒間間隙であり, 団粒内部間隙は圧密の影響を受けないこと, 圧密の進行にともなう間隙の崩壊は大きな間隙から起こることが分かった.
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