2006 Fiscal Year Annual Research Report
土地改良事業における暗渠排水工の低コスト化に関する研究
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18780185
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
千葉 克己 宮城大学, 食産業学部 環境システム学科, 助手 (00352518)
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Keywords | 暗渠排水 / 低コスト / 土地改良事業 / 水田の汎用化 / 補助暗渠 / 土壌水分観測 |
Research Abstract |
わが国では食料自給率が低迷する一方,米の過剰基調が続いている。このような食料生産状況を改善するためには,水田輪作農業の普及により米以外の穀物増産を図ることが必要である。また,わが国には麦類や大豆をそのまま栽培することが困難な排水不良水田が多いため,地下排水機能を高める暗渠排水を整備し,水田を畑地としても利用可能にする水田の汎用化が併せて必要である。 現在,暗渠排水整備のほとんどは土地改良事業で行われており,麦類や大豆の増産や作業性の向上に成果を上げている。しかし,その整備には多大な経費がかかるため,近年は低コスト化が求められている。 本研究は,土地改良事業における暗渠排水工の低コスト化を目的とし,これまで国内において検討されてなかった間隔を20m以上とした本暗渠と補助暗渠を組み合わせた低コストな暗渠排水システムの地下排水能力を検証し,現場への導入が可能か評価するものである。 平成18年度は宮城県新蒲地区で施工した低コストなシステムの地下排水能力を評価するために,地区内の大豆栽培圃場において8月から11月にかけて降雨後の暗渠排水量,地下水位の変動,作土の土壌水分変動などを観測した。 その結果,低コストなシステムは従来のシステムと比べ,暗渠排水量は8〜9割程度である場合が多く,地下水の低下速度が遅い傾向が認められたが,作土の過剰水は早く排除される傾向があることが確認された。 したがって,この低コストなシステムの地下排水能力は,地下水位の低下が主目的とされる湿田の改良については従来のシステムに劣る可能性が高いが,常時地下水位が低く作土からの過剰水排除が必要とされる排水不良の乾田の改良に有効なシステムであると考えられた。 次年度以降は,同様の調査を継続して行い,排水能力の持続年数についても評価していく必要がある。
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Research Products
(1 results)