2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780187
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸居 篤 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (80412451)
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Keywords | 塩ストレス / 蒸散 / SPAC / 耐塩性 |
Research Abstract |
本研究では耐塩性を持ち,塩類の中でも特にナトリウムの吸収に優れた品種に着目し,安定した作物生産と共にナトリウムを取り除くことを検討する.また,作物の根に対する塩ストレスの影響を考慮したSPACモデルを用いて,ナトリウムの量と作物の水分消費と収量の関係を明らかにすることを目的としている. 本年度の研究では,異なる塩濃度の土壌が作物の蒸散量と作物体内の通水抵抗へ与える影響について調査を行った.栽培作物は普通作物の中では比較的塩に強いブロッコリーを用いた.それぞれ,0.0,0.03,0.05,0.07,0.10,0.15mol/Lの6段階のNaCl水溶液をあらかじめ塩を洗浄したマサ土と混合し,ポット栽培実験を行った.得られた結果は以下のとおりである.土壌に与えた塩濃度が高くなるにしたがって吸水に障害が生じ始め,蒸散量の低下量も大きくなった.また,作物体各部位の水ポテンシャル測定によって,土壌の塩濃度の増大による吸水障害は,葉の水ポテンシャルの低下には影響を及ぼしていないことが明らかとなった.これは,気孔の閉塞によって葉内ポテンシャルの維持が行われたと類推された.それに対して,茎の水ポテンシャルは土壌塩濃度の上昇に伴って低下することが明らかとなった.土壌水の塩分濃度が0.03mol/lのときは,蒸散量の低下は少なく通水抵抗の変化も小さかった.0.05mol/lから吸水障害による水ポテンシャルの乱れが大きくなり,通水抵抗が増加し始め,0.10mol/lを限界としてそれ以上で急激な増加を示した. 今後はこの結果をモデル化し,塩による作物蒸発散量の低下メカニズムを明確にしたい.なお,平成18年度に行う予定であった塩水灌漑実験は,平成19年度に行い,平成18年度の結果とあわせて耐塩性と収量の関係をモデル化する計画である.
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Research Products
(1 results)