2006 Fiscal Year Annual Research Report
種子細胞内の脂質蓄積に関与する超微細構造のマイクロ波による破壊
Project/Area Number |
18780197
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
加藤 仁 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・バイオマス資源循環研究チーム, 研究員 (70391430)
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Keywords | マイクロ波 / 油糧種子 / 超微細構造 / シングルモード |
Research Abstract |
ベクトルネットワークアナライザを用いて国内生産で代表される油糧種子(ナタネ・ヒマワリ)の複素誘電率を測定した。その際、小粒体のナタネや不整形種子のヒマワリなどの個々の複素誘電率の測定は困難であるため、圧搾後の粉砕した圧搾カスをヘキサン溶媒により油脂と脱脂カスとに分離し、プレート状に成型した脱脂カス、油脂、水分を誘電体プローブにてそれぞれ測定し、種子の複素誘電率の近似値を求めた。 マイクロ波照射効果についてナタネ・ヒマワリについて検証を行った。 ヒマワリ:水分7.0%のヒマワリ種子200gに対して2.45GHz・1.4kWのマイクロ波(NE-1401G, National)を用いて30秒および60秒照射させて圧搾試験を行った結果、無照射区に対し、30秒照射区では種子温度が74℃上昇し、圧搾率は2.1%向上、60秒照射区では種子温度117℃上昇し、圧搾率は4.2%向上した。 ナタネ:ナタネ種子400gに周波数2.45GHz、1.4kWのマイクロ波を30秒、45秒、60秒、75秒、90秒照射した結果、60秒照射することにより、圧搾率に有意な差が現れ、90秒照射では、種子温度は120℃程度上昇し、圧搾率は照射しない対照区に比べて1.4倍近く増加した。圧搾後のナタネ油の品質は、各試験区とも、"なたね油"の規格値(水分、酸価、けん化価、よう素価、不けん化物)をほぼ満たす結果となった。油溶性であるクロロフィル量は、圧搾前に加熱することにより油中に溶出する傾向にあり、マイクロ波照射量が多くなるほどその量は増加した。 EIA規格WR340(内径呼寸法86.36mm×43.18mm)の特殊導波管および周波数2.45GHz、出力2kWのマイクロ波照射装置を試作し、シングルモードによるナタネ種子へのマイクロ波照射試験を行なった。さらに、電磁界シミュレータ(MW-Studio、エーイーティージャパン)を用いて3次元電界のシミュレートを行い、連続照射による前処理の検討を行った。その結果、導波管内に定在波が生じることがシミュレーションおよび種子加熱試験から明らかになり、今後装置を改良する予定である。 以上の研究結果の一部を、農業環境工学関連学会2006年合同大会にて発表。「マイクロ波処理によるヒマワリ搾油率の向上」講演要旨集(CD-ROM)
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