2008 Fiscal Year Annual Research Report
種子細胞内の脂質蓄積に関与する超微細構造のマイクロ波による破壊
Project/Area Number |
18780197
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
加藤 仁 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・バイオマス資源循環研究チーム, 研究員 (70391430)
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Keywords | マイクロ波照射処理 / 搾油 / ナタネ / 貯蔵性 |
Research Abstract |
油糧種子に含まれる油脂は細胞内の脂質顆粒に蓄積され,圧搾などの物理的圧力を加えることにより種子外へと搾り出すことが可能である。さらに,加熱により脂質顆粒周辺のタンパク質を含む微細構造を破壊することで,油脂の圧搾効率を向上させることができる。本研究ではナタネのマイクロ波照射処理により,ナタネ種子細胞内の微細構造を破壊し,油脂の圧搾率を向上させること,および採取したナタネ油の品質について検討を行った。ナタネ種子はマイクロ波照射により迅速に加熱され,設定温度120℃以上で圧搾率に差異が見られた。外部加熱処理により種子表面温度が120℃となるまで加熱したナタネの圧搾率は,マイクロ波照射処理により表面温度が120℃に達したナタネの圧搾率より低い結果となった。これは,マイクロ波照射処理による加熱は,種子内部まで十分加熱されるのに対し,外部加熱では種子内部までの加熱が不十分であったことが考えられる。また,設定温度120℃程度のマイクロ波照射処理ではナタネ油の品質は劣化しなかった。さらに,マイクロ波照射処理後に圧搾したナタネ油は,未処理および外部加熱処理後に圧搾したナタネ油に比べて貯蔵中のナタネ油の酸価の上昇が抑制され,45℃の条件で120日間貯蔵後の油の酸価は3mgKOH/g程度であった。それぞれの処理されたナタネの子葉細胞のSEM観察では,加熱されることで脂質顆粒周辺の微細構造体が破壊されるのが確認され,その破壊の度合いは外部加熱処理に比べてマイクロ波照射処理されたナタネ種子に顕著に見られた。
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Research Products
(4 results)