2006 Fiscal Year Annual Research Report
牛乳・牛肉製品の高付加価値化を目指した天然型CLAの抗がんメカニズムの解明
Project/Area Number |
18780204
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河原 聡 宮崎大学, 農学部, 講師 (30284821)
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Keywords | CLA / 畜産食品 / 乳がん細胞 / 増殖抑制 / 細胞内タンパク質 |
Research Abstract |
牛乳および牛肉に含有される脂肪酸の一つであるcis-9,trans-11共役リノール酸(天然型CLA)の乳がん細胞増殖抑制作用の機序を解明する目的で、ヒト乳がん細胞株であるMCF-7の細胞内タンパク質発現に及ぼす天然型CLAの影響を解析した。ウエスタンブロッティングにより細胞周期タンパク質の発現量を解析した結果、細胞周期をGO/Gl期からS期へ進行させる作用をもつサイクリンD1およびサイクリンEの発現量が天然型CLAの存在により顕著に抑制された。また、このサイクリン発現抑制は、主要な乳がん細胞増殖因子であるエストロゲン(E2)と細胞内に存在するエストロゲン受容体(ER)との結合阻害、あるいはE2-ER複合体の核内移行の阻害に起因することが示唆された。フローサイトメトリーによる細胞周期解析の結果、天然型CLA存在下にて培養したMCF-7ではGO/G1期にある細胞数が有意に増加していたことから、上記のサイクリン発現量の低下が乳がん細胞の増殖抑制に重要であることが確認された。 一方、天然型CLAを作用させたMCF-7のプロテオーム解析結果から、天然型CLAはMCF-7内の遺伝子転写に関与するタンパク質群、熱ショックタンパク質、呼吸関連酵素群の発現量を低下させていることが示された。以上の結果から、天然型CLAは細胞周期関連タンパク質の発現抑制に伴う細胞周期の延長、転写因子および熱ショックタンパク質の発現低下によるタンパク質合成能の低下、ならびに呼吸関連酵素群の発現量低下に伴うエネルギー産生能の低下という複合的な機序を介して、乳がん細胞に対する増殖抑制作用を示していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)