2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブタおよびイノシシにおけるエネルギー代謝制御に関する遺伝子多型と形質との相関解析
Project/Area Number |
18780212
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
田中 和明 Azabu University, 獣医学部, 講師 (50345873)
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Keywords | ブタ / イノシシ / ベータ3アドレナリンレセプター / グレリン / 遺伝子多型 / 産肉形質 / ロース芯面積 / 遺伝子マーカー |
Research Abstract |
ベータ3アドレナリンレセプター(ADRB3)遺伝子は、エネルギーの恒常性維持や肥満との関連が報告されている。研究代表者は、ブタADRB3のコード領域内に一塩基挿入/欠失型多型を発見し、T5型およびT6型対立遺伝子と命名した。全国農業協同組合連合会飼料畜産中央研究所で飼育されているデユロック種集団を用いて、ADRB3の遺伝子型と各種形質との相関解析を行った。その結果、ADRB3遺伝子のT5型・T6型対立遺伝子型によって、体重95kg到達時における体長約1/2部位のロース芯断面積に統計学的に有意な差が認められた。すなわちT6型のホモ接合体は、その他の遺伝子型の個体に比べて、ロース芯面積を有意(P<0.002)に増加させる効果が認められた。ロース部位は豚肉の中で利用価値の高い部位であることから本研究の成果は、ブタを遺伝的に改良するための遺伝マーカーとして利用可能である。また、摂食と成長ホルモン分泌の制御にかかわるグレイン遺伝子の配列を決定し多型解析を行った。その結果、グレリン前駆体タンパク質の第112番地におけるアミノ酸置換[トレオニン(T)⇔アスパラギン(N)]を生じる1塩基多型を発見した。わが国用いられる主要ブタ品種を用いて対立遺伝子の分布を調査した結果、ランドレース種および大ヨークシャー種ではT型対立遺伝子の頻度が0.7〜0.9と高く、ポーク型であるデユロック種では、N型の頻度が0.8以上であった。得られた対立遺伝子頻度は、形質との相関解析が十分に可能なものであった。ゆえにADRB3の多型と同様に、形質との相関を調査するべき変異であると考えられる。
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