2006 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞クローン胎子の胎盤機能に関する基礎研究:分娩遅延の要因解明
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18780213
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Research Institution | Hokkaido Animal Research Center |
Principal Investigator |
平山 博樹 北海道立畜産試験場, 基盤研究部受精卵移植科, 研究職員 (60390861)
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Keywords | 体細胞クローン / 分娩 / ホルモン / エストロジェン / エストロンサルフェート / 胎盤 / 牛 |
Research Abstract |
体細胞クローンの受胎牛における分娩徴候の欠如や微弱化の原因を解析するために、受胎牛および新生子牛の内分泌学的解析を行った。また、体細胞クローン牛の分娩状況、生時体重および生存性を調査した。体細胞クローン牛の生後1週間以内の死亡率は、帝王切開で分娩した場合は67%(10/15)と最も高く、膣を経由して分娩した場合も47%(9/19)であり、いずれも対照の0%(0/9)に比較して高い値を示した。生時体重は、帝王切開で55.9±3.9kgと最も高く、経膣の場合も43.3±2.1kgと、いずれも対照の29.0±1.6kgに比較して高い値を示した。体細胞クローン受胎牛における分娩前3-0日のエストロンおよびエストラジオール17β濃度は対照に比較して低値であった。しかし、エストロンサルフェート濃度は対照に比較して高い傾向を示した。体細胞クローン受胎牛のプロジェステロン濃度は対照と同様に分娩前に低下した。これらのことから、体細胞クローン受胎牛ではエストロジェン合成の不足あるいはエストロンからエストロンサルフェートへの過剰な変換のために、分娩時のエストロジェン濃度の上昇が弱く、分娩徴候の微弱化を引き起こしていると考えられた。新生子牛における血中コルチゾル濃度は、帝王切開で出生した体細胞クローン牛で低い傾向を示したが、経膣で出生した体細胞クローン牛は対照と同様の値を示した。このことから、体細胞クローン牛は、胎子から母体へ分娩開始を知らせるシグナルであるコルチゾルを正常に分泌する能力を持つことが示された。
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