2007 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞クローン胎子の胎盤機能に関する基礎研究:分娩遅延の要因解明
Project/Area Number |
18780213
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Research Institution | Hokkaido Animal Research Center |
Principal Investigator |
平山 博樹 Hokkaido Animal Research Center, 基盤研究部・受精卵移植科, 研究職員 (60390861)
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Keywords | 体細胞クローン / 分娩 / ホルモン / エストロジェン / エストロンサルフェート / 胎盤 |
Research Abstract |
これまでの研究から、クローン胎子の受胎牛では分娩前に血中の活性型エストロジェンであるエストロン(E1)およびエストラジオール-17β(E2)が増加せず、不活性型エストロジェンであるエストロンサルフェート(E1S)が高いことが示されている。平成19年度は、胎盤におけるエストロジェンの活性制御と生産に関わる、エストロジェンサルファトランスフェラーゼ(SULT1E1)、エストロジェンサルファターゼ(STS)およびアロマターゼ(CYP19)の遺伝子発現を解析し、母体のエストロジェン濃度との関係を分析した。 1.分娩時の胎盤では、SULT1E1発現量は胎子胎盤と母胎盤で差がなく、クローン胎子の受胎牛(経膣分娩および帝王切開による分娩)は対照(体内受精胚の移植による妊娠)に比較して有意に高い値を示した。STS発現量は母胎盤で有意に高く、クローン胎子の受胎牛と対照の差はなかった。CYP19発現量は胎子胎盤で有意に高く、クローン胎子の受胎牛と対照の差はなかった。 2.胎盤におけるSULT1E1発現量は、母体血漿中のE1濃度と負の、E1S濃度と正の相関を示した。STSおよびCYP19発現量は、母体のE2濃度と正の相関を示した。 以上の結果から、胎盤における過剰なステロイドへの硫酸付加が母体血漿中のE1S濃度を上昇させ、E1およびE2濃度の上昇を妨げていることが示唆された。
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