2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブタの背脂肪厚制御因子の解明:脂肪前駆細胞の増殖能による違い
Project/Area Number |
18780214
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中島 郁世 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所畜産物品質研究チーム, 主任研究員 (60355063)
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Keywords | ブタ / 背脂肪 / 脂肪前駆細胞 |
Research Abstract |
ブタの背脂肪厚は枝肉の最も重要な評価項目の一つである。アジア系梅山豚の背脂肪が西洋系の品種に比べて厚い理由は、脂肪前駆細胞の増殖性に違いがあるとの仮説に基づき、当研究室で樹立した西洋系交雑豚由来の皮下脂肪前駆細胞株(PSPA)と梅山豚由来の皮下脂肪前駆細胞株(MSPA)を用いて細胞増殖を比較した。まずPSPA及びMSPAを10%FBS添加DMEMで培養し、両細胞株の増殖に伴う細胞数を測定した。PSPA、MSPA共にconfluentに達した後も接触阻止がかからず増殖を続けるが、confluent後10日目の細胞数はMSPAの方が多い傾向にあった。次いでconfluent後10日目の前駆細胞よりtotal RNAを抽出し、ビオチン標識cDNAプローブを合成した後、SuperArray社GEArray Qシリーズ細胞周期(ヒト用)を用いてハイブリダーゼーションを行い、発現量に違いのある遺伝子を検出した。PSPAとMSPAにおける増殖関連遺伝子の発現を比較した結果、PSPAの方で発現量が高い遺伝子は一つもなく、PSPAよりもMSPAで高発現する9つの遺伝子が特定された。Cyclin E2(CCNE2)、cyclin-dependent kinase 6(CDK6)及びCDC28 protein kinase 2(CKS2)はG1期、cyclin B2(CCNB2)とcyclin F(CCNF)はG2期、cyclin A1(CCNA1)はS期、cell division cycle 2(CDC2)はM期、B-cell CLL(BCL2)とbreast cancer 1(BRCA1)はDNA損傷のチェックポイントに関与する遺伝子であり、これら発現はMSPAが細胞分裂を活発に行っていることを示唆するものである。
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