2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下島 昌幸 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10422411)
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Keywords | ウイルス糖蛋白質 / シュードタイプウイルス / cDNA library / スクリーニング / Axl |
Research Abstract |
フィロウイルスの性状の多くは明らかではない。本研究はその細胞への侵入における分子機構を明らかにすることが目的である。 エボラウイルスの表面糖蛋白質(GP蛋白質)は本ウイルスの細胞侵入を担っている。このGP蛋白質をレトロウイルスのエンベロープとしたシュードタイプウイルスを作製した。このシュードタイプウイルスはVero E6細胞株に良く感染し、Jurkat細胞には殆ど感染せず、野生型のエボラウイルスの場合と酷似していた。このシュードタイプウイルスを用いた高効率のスクリーニング系を構築した。高感受性細胞(Vero E6)から作製したcDNAライブラリーを低感受性細胞(Jurkat)に発現させ、スクリーニングを行った結果、感染性を100倍程度高める細胞因子としてAxlという蛋白質を同定した。Axl分子と同じファミリーに属するDtk分子も同様の作用を示した。抗Axl抗体による高感受性細胞(Vero E6)へのウイルス感染の阻害は認められなかったが、50%程度の阻害が見られる細胞株(HeLa細胞等)もあった。AxlまたはDtk分子の発現が低感受性細胞(Jurkat)への野生型エボラウイルスの感染を2-3倍程度高めることを見出した。 以上の結果は、エボラウイルスの感染に膜蛋白質AxlおよびDtkが関与しうることを示している。が、同時にこれらの分子に依存しない感染経路の存在を示している。未同定の感染経路を同定するためには、新たなスクリーニング系の構築が必要と考えられたが、一方で構築したスクリーニング系は他のウイルスへ応用可能で有益であるとも考えられた。
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