2006 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陽性球菌が保有する宿主接着機構の伝染性牛乳房炎発症への関与の解析
Project/Area Number |
18780219
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高松 大輔 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所・細菌・寄生虫病研究チーム, 主任研究員 (60414728)
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Keywords | 乳房炎 / 接着因子 / 黄色ブドウ球菌 / レンサ球菌 / GspB相同体 |
Research Abstract |
牛の乳房炎は、酪農経営においてもっとも大きな経済的損失を与える疾病の一つである。最近のゲノムシークエンス等の研究成果から、伝染性牛乳房炎の主要な原因菌であるStaphylococcus aureus及びStreptococcus agalactiaeは、他のレンサ球菌で宿主細胞への接着に関与することが明らかになっている接着因子の相同体(GspB相同体)を保有していることが明らかとなってきた。本研究課題では、S.aureus及びS.agalactiaeが保有するGspB相同体の牛乳房炎発症への関与を明らかにするために、乳房炎由来株を収集し、GspB相同体の遺伝子の保有状況及び発現の有無について調べた。その結果、乳房炎由来株の多くの株がGspB相同体の遺伝子を保有しており、半数以上の株で細胞表層にGspB相同体が発現していることが明らかになった。また、今回調べた乳房炎由来株では、保有するGspB相同体に大きな配列上のバリエーションは認められなかった。そこでGspB相同体を発現しているS.aureus株及びS.agalactiae株を1株ずつ代表株として選択し、遺伝子破壊株を作製した。また、GspB相同体のレコンビナントタンパク質を大腸菌で発現させ、精製したタンパク質を用いて抗血清を作製した。今後はこれらの遺伝子破壊株やレコンビナントタンパク質を用いて、GspB相同体が牛の細胞・組織に対して結合能を有しているか否かについて調べる予定である。
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