2008 Fiscal Year Annual Research Report
泌乳持続性向上のためのウシ乳腺上皮細胞におけるアポトーシス抑制因子の解析
Project/Area Number |
18780220
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
中島 恵一 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター・自給飼料酪農研究チーム, 主任研究員 (70362150)
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Keywords | 泌乳 / 低分子量分子シャペロン / 乳腺上皮細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.分子シャペロンによる乳腺上皮細胞のアポトーシス抑制作用及び乳合成持続作用の解析 乳腺上皮細胞においてHSP27の発現を抑制すると、僅かにアポトーシスが促進するが、有意な差は検出されなかった。この結果から乳腺上皮細胞におけるアポトーシス抑制には主に他の分子シャペロンが関与すると考えられたため、乳腺において発現量の高いαB-クリスタリンについて検討した。siRNA法によりαB-クリスタリンの発現を抑制すると乳蛋白質の発現が有意に減少した。この結果からαB-クリスタリンが乳合成の持続に関わることが考えられたため、現在はαB-クリスタリンのアポトーシス抑制作用について解析している。 2.新たな乳腺上皮細胞のアポトーシス及び乳合成持続に関わる因子の探索 昨年度に発現機序を解析したラクトフェリンについて、本年度は乳腺上皮細胞に及ぼす作用を解析した。乳由来ラクトフェリンで乳腺上皮細胞を刺激すると、高濃度で顕著な細胞増殖抑制作用が観察された。乳中ラクトフェリン濃度は泌乳後期に上昇することが報告されていることから、乳合成を持続させるには泌乳後期の乳腺におけるラクトフェリンの高発現を抑制することが重要であると考えられた。更に本年度は泌乳後期に発現が減少する遺伝子としてVEGF遺伝子に着目した。VEGFは血管新生を促進することから、泌乳に必要なホルモン・栄養素等を供給し、乳合成を活性化することが予想された。RT-PCRの結果、ウシ乳腺組織におけるVEGF遺伝子の発現は泌乳期毎に変動し、乳合成活性の高い泌乳中期には乾乳期の約3倍に達した。またウシ乳腺上皮細胞においてプロラクチンとデキサメサゾンによりVEGFの発現が増大したことから、乳腺におけるVEGFの発現機構は乳蛋白質と共通する部分があり、VEGFは泌乳持続性を向上させる因子の1つであると考えられた。
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Research Products
(2 results)