2006 Fiscal Year Annual Research Report
ピロプラズマ原虫の薬剤耐性獲得における熱ショックタンパク質70の役割の解明
Project/Area Number |
18780223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 真大 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (40322846)
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Keywords | ピロプラズマ原虫 / 熱ショックタンパク質70 / 薬剤耐性 / ストレス因子 / 機能解明 |
Research Abstract |
本年度はまず、研究代表者の所属する研究室において体外培養・維持しているピロプラズマ原虫Babesia gibsoni(B.gibsoni)を用いて薬剤耐性をもったプロプラズマ原虫株の作成を行った。抗ピロプラズマ原虫薬であるジミナゼン・ジアセチュレートの1ng/mL存在下でB.gibsoniを培養したところ、第1週目は通常と同様に増殖が見られるが、第2週目に増殖力が著しく低下することが観察され、その後第3週目以降からはジミナゼン・アセチュレート存在下でも再び増殖を繰り返すようになると言う、非常に興味深い現象が観察された。このジミナゼン・ジアセチュレート1ng/mL存在下でも増殖を繰り返す原虫をさらに高濃度(3ng/mL)の同薬剤に曝したところ、通常の原虫は著しく増殖力が低下したにもかかわらず、この原虫は増殖力が維持されたため、これをジミナゼン・アセチュレート耐性B.gibsoni株とした。この原虫株について、ジミナゼン・ジアセチュレートに暴露後第1週目から第2週目にかけて薬剤耐性を獲得する何らかの変化があると予測し、その期間の原虫由来熱ショックタンパク質70(bsp70)の発現量を原虫由来リボソーム量を内部標準として解析したところ、薬剤に暴露後はじめの1時間では発現量は増加したが、暴露後1週間後および2週間後ではbsp70の発現量が減少している様に思われた。しかしながら、1週間後および2週間後の薬剤耐性株では内部標準として使用したリボソームの発現量も増加しているように思われたため、B.gibsoni原虫の膜表面に存在する抗原分子であるP18を新たな内部標準として使用するための実験条件を設定した。今後これを用いて薬剤耐性原虫における原虫由来hsp70とリボソームの発現量の変化についてさらに検討をくわえていく予定である。
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Research Products
(1 results)