2006 Fiscal Year Annual Research Report
パラポックスウイルスの病原性を規定する血管内皮増殖因子の各種動物細胞への反応性
Project/Area Number |
18780227
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (20355184)
|
Keywords | パラボックスウイルス / 血管内皮増殖因子 / ウシ / ヒツジ / ヤギ / ニホンカモシカ / 感染症 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
パラポックスウイルス(PPV)は、同じ種類のPPVがウシにも、ヒツジにも、ニホンカモシカにも感染するが、症状はウシでは軽く、ヒツジ、ヤギでは中等度、ニホンカモシカでは重症となることが多い。本研究では、ウイルスの病原性に関与すると考えられる血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor : VEGF)に対する各種動物細胞の反応性を解析し、動物種差と病原性差の関係を明らかにする。 本年度は最初に、発症したヒツジ由来PPV2株、ニホンカモシカ由来PPV5株を解析した。7株はオルフウイルスに分類され、全ての株はVEGF相同遺伝子を保有していることを明らかにした。1株は5アミノ酸短く置換も多かったが、6株間ではよく保存されていた。しかし、海外のグループが報告した配列とは異なっていた。 ニホンカモシカの口唇病変部組織において、ウイルス由来VEGFのmRNAが実際に発現していることをRT-PCRにより明らかにした。PPV感染培養細胞では、感染6時間後からVEGFのmRNAが発現することをRT-PCRにより明らかにした。 ウイルス由来VEGFを組換え蛋白として大腸菌で発現した。組換えVEGFは、濃度に依存し、ヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖を亢進したことから、ウイルスVEGFは、VEGFとしての生物学的活性を有していることが示唆された。 ウシ、ヒツジ、ヤギ、ニホンカモシカの腹腔大動脈を提供してもらえる人的ネットワークの確立に成功した。腹腔大動脈から血管内皮細胞を無菌的に分離・培養する方法の確立に成功しつつある。この方法により各動物の内皮細胞を数ロットずつ液体窒素保存できた。動物種ごとの細胞と組換えVEGFを用いた実験が進行中である。 これらの成果の一部は、第142回日本獣医学会学術集会で発表し、現在投稿準備中である。
|