2007 Fiscal Year Annual Research Report
サシチョウバエ唾液成分を用いたリーシュマニア感染防御ワクチンの候補抗原の探索
Project/Area Number |
18780230
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
加藤 大智 Yamaguchi University, 農学部, 准教授 (00346579)
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Keywords | ワクチン / 感染症 / ベクター / 唾液 / 免疫 / リーシュマニア症 / 寄生虫 / サシチョウバエ |
Research Abstract |
本研究は、ベクターであるサシチョウバエの唾液タンパクをリーシュマニア感染防御ワクチンとして応用するという新たな発想でのワクチン開発研究を行うことを目的とする。 これまでの研究で、L.major「を媒介するサシチョウバエ P.duhoscqiの唾液タンパクのプロテオーム解析およびトランスクリプトーム解析を行い、唾液の主要構成タンパクを明らかにしてきた。 この解析結果をもとに10種類程度の主要タンパクと、それらのうち抗原性にバリエーションがみられたものの、合計20種類程度の唾液タンパクをコードする遺伝子を哺乳類細胞タンパク発現ベクターに組込み、DNAワクチンを作製した。マウスの右耳をDNAワクチンで1週間おきに3回免疫し、最終免疫の1週間後、左耳に唾液腺抽出物をチャレンジ、細胞性免疫応答の指標であるDTHを測定した。また、液性免疫応答の指標として、唾液タンパクに対するIgG抗体応答を検討した。 マウスに誘導される免疫応答を23種類の唾液タンパクについて検討した結果、それぞれの抗原の免疫原性に強弱が認められた。このうち、主要唾液成分でもある15, 32,42および44 kDaの唾液タンパクの免疫原性が高く、32 kDaのタンパクは液性免疫応答、42 kDaのタンパクは細胞性免疫応答、15 kDaおよび44 kDaのタンパクは両方の免疫応答を強く誘導することが明らかとなった。サシチョウバエ唾液成分に対する細胞性免疫応答がリーシュマニア感染防御効果をもたらすと考えられることから、15,42および44 kDaの唾液タンパクがワクチン候補抗原として考えられた。本研究で得られた結果は、ベクター唾液成分を用いた新たなワクチン開発に有用な知見をもたらすもので、今後は本成果をもとに、感染動物実験によりこのワクチンの有効性を検証していく必要があると考えられた。
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Research Products
(21 results)