2007 Fiscal Year Annual Research Report
犬遺伝性グルタミン酸輸送体欠損症の分子基盤とその臨床的意義
Project/Area Number |
18780237
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 耕太 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50283974)
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Keywords | グルタミン酸 / トランスポーター / 赤血球 / 脳 / 細胞膜 / GLAST / 遺伝 / 犬 |
Research Abstract |
グルタミン酸トランスポーターはさまざまな神経変性疾患の発症に関与することが知られており、その細胞表面発現の低下が疾患に直結することから、細胞表面移行の調節機序の解明が期待されている。遺伝性犬赤血球GLAST欠損症はそのような細胞表面発現調節異常症のモデル系として重要であり、その発症原因を解明するために、赤芽球におけるGLASTの発現動態を中心に検討を行った。昨年までに確立した犬GLAST発現赤芽球細胞株およびGST-GLAST-C末端融合蛋白質を用いてGLASTと相互作用する分子を探索した。 最初に、GLAST蛋白質の細胞表面発現に影響するアダプター蛋白質を同定するために、GLAST発現赤芽球細胞株におけるGLAST結合蛋白質の免疫沈降を行った。PDZドメイン蛋白質を含むいくつかの蛋白質および膜骨格蛋白質の共沈が見られたことから、これらとの相互作用がGLASTの発現に重要であると考えられた。また、GLAST-C末端GST融合蛋白質を用いて赤血球膜のGLAST結合蛋白質の検出を試みたところ、p55蛋白質との結合が観察された。さらに野生型および変異型GLASTのp55との結合を比較したところ、結合力が異なる可能性が示された。このようなGLAST-細胞膜骨格間相互作用が犬遺伝性赤血球GLAST欠損症やその他のGLAST発現異常症に関与しているものと考えられたため、GLASTおよびいくつかの赤血球膜骨格蛋白質との相互作用をさらに詳細に解析する予定である。
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