2008 Fiscal Year Annual Research Report
犬遺伝性グルタミン酸輸送体欠損症の分子基盤とその臨床的意義
Project/Area Number |
18780237
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 耕太 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (50283974)
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Keywords | グルタミン酸トランスポーター / 赤血球 / 脳 / 遺伝性疾患 / プロモーター |
Research Abstract |
日本犬の一部では赤血球膜GLAST欠損を呈するLGluT赤血球の存在が知られている。その原因遺伝子としてGLSATにおけるアミノ酸置換(G492S)およびプロモーター活性の低下の関与が示唆されている。そこで犬GLAST遺伝子を安定発現するK562赤芽球細胞株を確立し、野生型およびG492S変異GLASTの細胞表面発現を比較検討した。分化誘導によるGLASTの細胞表面発現レベルは、G492S変異の有無に大きな影響を受けなかった。さらに、他の赤芽球細胞株であるMELおよびMEDEP E14についてもK562と同様にレンチウイルス系を用いた安定発現株の確立を試み、野生型およびG492Sともに細胞表面に発現することが確認されたが、これらの細胞では導入効率が低く、クローンを得ることができなかった。これらの細胞株ではK562と比較して、より後期の赤芽球あるいは網状赤血球にまで成熟することから、さらに発現効率を高める導入法の確立が望まれた。一方、GLAST遺伝子の発現レベルに影響すると考えられる犬GLAST遺伝子プロモーター領域について各形質の犬より約3.5kbのプロモーター領域を単離し、塩基配列および赤芽球細胞株におけるプロモーター活性を比較した。赤血球GLASTの発現低下が見られるLGluT犬由来のプロモーターでは、赤芽球細胞株のなかでもより成熟した赤芽球に類似したMEDEP細胞において活性の低下が認められた。このような差異はより未分化な赤芽球細胞株であるMELでは観察されず、より成熟した赤芽球に特異的な転写因子あるいは結合蛋白質が、プロモーター活性低下を介したLGluT形質の発現に関与することが示唆された。
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Research Products
(4 results)