2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18780239
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐野 忠士 北里大学, 獣医畜産学部, 助手 (50365194)
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Keywords | 陽子線 / 犬株化腫瘍細胞 / RBE / SOBP / 高精度放射線治療 |
Research Abstract |
狭い領域での陽子線の照射による生物効果を見るために改良した方法で、東北大学CYRICにおける陽子線ビームの物理的特性とその生物学的評価を行った。物理学的特性試験として二重散乱体法、Wobbler法を用いてビーム平坦度と深度分布の比較を行ったところWobbler法で若干再現性の良い結果を得ることができ、深度方向20mm厚のSOBP(拡大ブラッグピーク)の形成に成功した。この物理学的実験の結果を基準とし、SOBPのエントランスである10mmおよびSOBP内25mm、30mm、38mmの各位置で線量率0.8Gy/min、2,4,6,8Gyの陽子線照射を行いその生物学的効果比(RBE)を算出した。すべての実験にはイヌ自然発生腫瘍由来の悪性黒色腫株化細胞を使用した。Clonogenic assayにより得られた生存率をLQモデルにより解析し、SOBPのエントランスである10mmを基準としたRBEを算出したところ、二重散乱体法・Wobbler法のいずれでも25mm,30mm,38mmの順に生存率が低下する傾向が認められた。また、SOBPの深さ増加に伴うRBEの変化として10%生存率と50%生存率において比較したところ、両者共SOBP深さの増加に伴いRBEは増加する傾向が認められ、SOBPの終端である38mmで最も大きな値を示した。以上の結果より東北大学CYRICで得られたビームにおける、SOBPの始端から終端にかけてLETの変動が存在することが明確となった。治療用装置の完成にさらに近づけるための物理学的実験および細胞実験の追加と、腫瘍細胞塊形成などのより生体に近い状態での細胞照射実験、生体を用いた照射実験などを進めていく必要性およびその内容を明らかにすることができた。
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