2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における骨髄間質細胞を用いた再生医療の確立
Project/Area Number |
18780240
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
枝村 一弥 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (80366624)
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Keywords | 獣医学 / 再生医学 / 移植・再生医療 / 外科 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本年度は、犬の骨髄間質細胞(BMSCs)のニューロンおよびシュワン細胞への分化の可能性について検討したので、その成果の一部を報告する。 犬のBMSCsの培養は、以前に申請者が確立した方法で行った。まず、犬のBMSCsのニューロンへの分化に関する検討を行った。BMSCsをβ-mercaptoethanolを含むDMEMを用い、24時間培養した。次いで、DMSOおよびBHAを含むDMEMで培養し、ニューロンへの分化誘導を試みた。犬のBMSCsは、約65%でニューロン様の形態へと変化し、その全ての細胞でNSEおよびneurofilamentが陽性であった。これらの細胞を走査型電子顕微鏡で観察したところ、細胞体の核周囲には細胞小器官が密に集合し、細胞体辺縁ではフィラメントの走行が認められた。細胞体から伸長する樹状突起や軸索も観察できた。これらの突起の先端部分では、シナプス結合部や成長円錐と思われる構造も観察できた。これらの結果は、犬のBMSCsがニューロンへと分化する能力を有していることが示唆された。次いで、犬のBMSCsのシュワン細胞への分化に関する検討を行った。犬のBMSCsをβ-mercaptoethanolを含むDMEMを用い24時間培養した後に、bFGF、Neurogulin、Forskolinなどを含む培養液用いて、シュワン細胞への分化誘導を試みた。BMSCsから誘導された細胞の形態は、他品種における報告のシュワン細胞と類似していた。ほぼ全ての細胞がシュワン細胞様の形態へと変化し、GFAP陽性率は約95%であった。これらの結果は、犬のBMSCsもシュワン細胞へと分化する能力を有している可能性が示唆された。 本研究では、犬のBMSCsの培養法を確立し、さらにBMSCsのニューロンおよびシュワン細胞への分化を確認した。今後、さらに分子生物学的手法を用いて分化の過程を検討して行く予定である。また、in vivoにおいて犬のBMSCs移植における脊髄再生医療の有用性についても検討していく予定である。本年度の検討内容は、第143回日本獣医学会学術集会で報告し、現在、論文作成中である。
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