2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における骨髄間質細胞を用いた再生医療の確立
Project/Area Number |
18780240
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
枝村 一弥 Nihon University, 生物資源科学部, 助手 (80366624)
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Keywords | 獣医学 / 再生医学 / 移植・再生医療 / 外科 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本年度は、犬の骨髄間質細胞(BMSCs)の多分化能と、牛胎子血清(FBS)を用いない培養方法の確立を試みた。また、自然発症脊髄損傷の犬および猫で、飼い主の同意の得られた数例においてBMSCsの移植を行い、その臨床効果について検討したので、その成果の一部を報告する。 犬のBMSCsを1回継代後に、他動物種で行われている方法に順じ、脂肪、軟骨、骨への分化を試みた。分化誘導後に、その形態の観察および特殊染色を行い検討したところ、犬のBMSCsも他の動物種と同様に脂肪、軟骨、骨への分化能を示し多分化能を有する可能性が明らかになった。 現在、臨床応用するにあたり培養過程におけるFBSの使用が問題視されている。そこで、犬のBMSCsを自己血清(AS)添加培地で培養し、その増殖能およびニューロンへの分化能を検討した。AS添加培地を用いて培養しても、犬のBMSCsはFBSを用いた時と同等の増殖能とニューロンへの分化能を有していた。また、犬のBMSCsをASを用いて培養するときには10%が至適濃度であることが、本研究から示唆された。 自然発症脊髄損傷の犬および猫において、BMSCsの移植効果を検討した。現在までに、5例行っていて経過観察中であるが、全例ではないが何らかの神経機能の改善が認められた。しかし、歩行可能となるまで改善した症例は無く、今後の課題となった。 本年度の検討内容は、第143回日本獣医学会学術集会、第45回日本大学獣医学会で報告し、日本獣医師会誌においても研究の一部を誌上で公表した。現在は、これらのデータをまとめて論文作成中である。
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