2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における骨髄間質細胞を用いた再生医療の確立
Project/Area Number |
18780240
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
枝村 一弥 Nihon University, 生物資源科学部, 講師 (80366624)
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Keywords | 獣医学 / 再生医学 / 移植・再生医療 / 外科 / 脳神経 |
Research Abstract |
本年度は、犬の骨髄間質細胞(BMSCs)の長期の保存法として、凍結保存法に関する検討を行った。また、自然発症脊髄損傷の犬および猫で、飼い主の同意の得られた症例においてBMSCsの移植を行い、その臨床効果についても検討した。 犬のBMSCsを本研究室で確立した方法に順じ分離した。BMSCsを分離後、1×10^6cells/mLの濃度となるように、細胞凍結保存液(Cellvation^<TM>)に混じ-80℃で長期間凍結保存した。一定期間の保存後に解凍を行い、再度BMSCsを培養し、その形態の観察や増殖能、ニューロン分化能を比較した。凍結保存後は、全例で紡錘形で線維芽細胞様の凍結前と同様の細胞の増殖が観察された。凍結保存後の増殖能は凍結前とほとんど差は無く、全例でニューロン様細胞への形態の変化も観察された。その時のニューロン分化率は75±7.0%、NSE陽性率は88±5.6%であった。これらの結果は、Cellvation[○!R]を用いた犬BMSCsの凍結保存が有効であることが実証された。 前年度に引き続き、自然発症脊髄損傷の犬および猫においてBMSCsの移植効果を検討した。現在までに移植を行った8例について検討を行った。BMSCsの移植を行った、75%(6/8)で麻痺肢の随意運動が認められた。また、37.5%(3/8)で自力歩行が可能となった。これらの成績は、従来の治療法に比較して極めて良好な結果であった。移植細胞数が多く、損傷部位に移植を行うことができた症例において、成績が優れている傾向が認められた。一方で、損傷位置や移植までの期間は、治療成績に影響を及ぼさなかった。本年度までの検討内容は、第5回日本獣医内科学アカデミー、第145回日本獣医学会学術集会、第46回日本大学獣医学会など種々の学会で報告した。現在は、これらのデータをまとめて論文作成中である。
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