2006 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ・ネコにおけるてんかん原因/関連遺伝子とてんかん素因の解析
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18780241
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
長谷川 大輔 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助手 (20366793)
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Keywords | てんかん / 遺伝子解析 / イヌ / ネコ / クロールチャネル |
Research Abstract |
イヌのてんかん遺伝子を検索するため,ヒトの特発性てんかんの原因遺伝子とされる幾つかの候補の中から,臨床的に(発作型)が最も近いと考えられる特発性全般てんかん(イヌの特発性てんかんでは全般強直・間代性発作が最も多いことが知られている)の原因遺伝子である電位依存性クロールチャネル(CLCN2)に着目し,イヌにおけるCLCN2遺伝子の同定に着手した. 既知のヒトCLCN2(hCLCN2)を基に,イヌのゲノムデーターべ一ス(NIH NCBI)よりhCLCN2との相同領域を検索し,幾つかのプライマーを作成した.また正常なイヌの脳サンプルとして,正常ビーグル犬より摘出した海馬組織を用い,total RNAを抽出し,cDNAを精製した.hCLCN2およびイヌゲノム配列から作成したプライマーを用い,正常犬海馬cDNAのPCRおよびシーケンス解析を行い,イヌCLCN2の塩基配列同定を試みた. RT-PCR産物のシーケンス結果をNIHのBLAST searchを用いてhCLCN2(3q27-q28,2697bp,exon1-24)との相同領域をイヌゲノムから検索したところ,イヌの34染色体上に存在していることが判明した.またシーケンス解析の結果hCLCN2のexon1の途中(正確にはexon1の32番目)からexon24までを同定した.今回用いたビーグル犬海馬サンプルにおけるcCLCN2ではexon17に相当する配列の欠損が認められ,さらにexon14の5'側にhCLCN2には存在しない56bpの挿入配列が確認された. 現在,残りのexon1の31bpの塩基配列の決定を5'-RACE法にて解析中であり,今後はcCLCN2のmRNA全長の同定後(同定後イヌのゲノムデータベースに公開する),他の脳領域あるいは他個体でのcCLCN2の発現分布を調査すると同時に,これまでの解析で明らかとなったexon17欠損およびexon14前の挿入配列の生理的意義について検討を加える計画である.
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