2007 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸性および外洋性イカ類における貯精・受精機構と成熟サイズ決定メカニズムの解明
Project/Area Number |
18789001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩田 容子 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究, 学術研究員 (60431342)
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Keywords | 海洋生態学 / 繁殖生態 / イカ / 遺伝的多様性 / 国際研究者交流 / イギリス・南アフリカ共和国 |
Research Abstract |
1.ヤリイカの平衡石・ペンを用いた成長履歴解析 オスのヤリイカにみられる成熟サイズ2型(メスとペアになる大型オスと、ペアに割り込み交接する小型オス)の生じるメカニズムを明らかにするため、ペンの輪紋を用いた成長履歴解析を行った。大型成熟オス、小型成熟オス間で平衡石孵化輪サイズから推定した孵化体サイズに有意な差は見られず、孵化時の体サイズはその後の成長や繁殖戦術に影響しないことが明らかとなった。未成熟期の日間成長率には大きな個体差が見られることが明らかとなった。また、成熟個体で異なる繁殖戦術をとる大型オスと小型オスの日間成長率は大きく異なり、小型オスは長期間低かった。これらの結果から、生活史の早い段階で成長率に差が生じ成熟サイズ2型を引き起こしていると考えられた。 2.ヤリイカ野外採集卵の親子判定 英国ロンドン大学Shaw博士、南アフリカ共和国Sauer博士と共同で、2007年3月北海道松前町のヤリイカ産卵場において野外調査を行い、卵の採集を行った。マイクロサテライトDNA多型を用いた親子判定を行ったところ、6卵塊のうち2卵塊で複数のオス(2個体・4個体)が受精に参加していること、そのうちの1個体が大きな割合を占めることが明らかとなった。この結果はこれまでの飼育実験による結果を支持しており、本種では他のヤリイカ類に比べmultiple paternityのレベルが低いことが考えられた。このことから、ヤリイカのオス間ではメスをめぐる競争のレベルが強く、競争能力に強く影響する体サイズに強い選択圧がかかると思われ、オスがメスよりも大型に進化したと考えられる。 3.スルメイカマイクロサテライトDNA多型を用いた遺伝マーカーの作成 昨年度作成したマーカーの有効性を確かめ、学術論文として国際誌に発表した。
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Research Products
(5 results)