2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランスグリコシル化反応による糖鎖を分子プローブとした癌治療薬の創製に関する研究
Project/Area Number |
18790011
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 剛 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (80295138)
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Keywords | 糖鎖 / 生理活性 / 有機化学 / 酵素反応 / 分子認識 / リコテトラオース / トマチナーゼ / ガン細胞増殖抑制 |
Research Abstract |
リコテトラオースのガン細胞増殖抑制活性における役割を探る分子プローブの調製を著者らが展開しているトランスグリコシル化法を応用して行った。 先ず、収穫後不要になったトマト地上部からαトマチン得、これとトマト寄生カビ・Fusarium.oxysporum培養液から調製したトマチナーゼを混合し室温で一晩反応することでリコテトラオースを75%の収率で得た。トマチナーゼの調製に関して、大腸菌を形質転換してトマチナーゼ蛋白を得ることも計画しているが、本年度は、トマト寄生カビ・F.oxysporumの培養条件を最適化することで大量のリコテトラオースを得ることが出来た。得られたリコテトラオースはアセチル保護した後、糖供与体(トリクロロアセトイミデート体、チオトルエン誘導体、フッ化グリコシド体)に効率よく変換した。また、イミデート体をエタノールアミンとグリコシル化した末端アミン体の調製も行った。同様の方法で、アリルアルコール配糖体に変換し、オゾン酸化することで、末端アルデヒド体の調製も行った。 次に、コレステロールをアグリコンとしてリコテトラオース糖供与体のグリコシル化の条件検討を行った。その結果、フッ化グリコシド、チオグリコシドを用いると収率が良いことが判明した(収率65〜75%)。尚、調製の容易さからチオグリコシドが本実験には最も適した糖供与体である。しかしながら、得られた配糖体の結合様式は天然のβ-型ではなく、α-型が選択的に生成した。今後更なる条件検討が必要である。引き続き、トリテルペン(グリチルリチン酸)、ステロイド(ジオスゲニン)をアグリコンとしてトランスグリコシル化を行い、それぞれ非天然型のα-結合したリコテトラオース配糖体に変換した。 得られた化合物はヒト肺ガン細胞(A549)に対する増殖抑制試験を行ったところ、中程度(10μM)の抑制効果を示す化合物を得ることが出来た。今後更にアグリコンや結合様式のバリエーションを増やすことで更に有効なリード化合物を検索していく必要がある。
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Research Products
(6 results)