2008 Fiscal Year Annual Research Report
γ、γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種とその類縁体を用いた合成反応の開発と応用
Project/Area Number |
18790013
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 梓 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (10338965)
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Keywords | γ, γジルコシアリルジルコニム種 / アリル金属種 / アミノアルデヒド / α, β-不飽和ケトン / シアン化銅 / フルオロアルケニルクロム種 / フルオロアリルアルコール / ベスタチン |
Research Abstract |
研究代表者はジルコノセンジクロリドとn-ブチルリチウムとの反応により生成するジルコノセン-ブテン錯体にオルトアクリル酸トリエチルエステルを作用させることにより、ジルコニウムにおける配位子交換および分子内アルコキシル基のβ脱離を経てγ, γ-ジアルコキシアリルジルコニウム種が生成することを既に報告している。このγ, γジアルコキシアリルジルコニウム種を用いた反応における基質について、その一般性を拡大すべく検討を行なった。シアン化銅(I)存在下、この有機ジルコニウム錯体とアリルハライドとの反応ではジルコニウム種のα位でカップリング反応が進行し、5-ヘキセン酸エステル誘導体が得られることが明らかとなっている。そこで、基質としてα, β-不飽和ケトン誘導体を用いた付加反応について検討を行った。種々の基質を検討したところ、多くの基質で反応が進行せず、本基質に対する低い反応性が示された。シクロヘキセノンと反応を行った場合、20%の収率でジルコニウム種のα位における1, 4-付加反応が観察された。カルコンを用いた場合には89%の収率でジルコニウム種のγ位が反応点となる1, 2-付加体が得られ、今回の活性種が一般的な銅試薬とは異なる性質を有することが明らかとなった。 また、フルオロアルケニルクロム種の合成とそのアミノアルデヒド類との反応についても検討を行なった。反応に用いるアルデヒド類として含窒素体であるキラルなアミノアルデヒドを用いて反応を行ない、含フッ素ベスタチンアナログ合成を指向し検討を行なったところ、良好な収率で対応する前駆体の合成に成功した。 上記の研究内容について、The 236th ACS National Meeting、第32回フッ素化学討論会および日本薬学会第129年会にて発表を行なった。
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