2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790016
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野地 匡裕 明治薬科大学, 薬学部, 助手 (80312073)
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Keywords | プロキラルカルボカチオン / 1,3-ケトエステル / ジアステレオ面選択的反応 / 希土類トリフラート / ハフニウムトリフラート / イオン性液体 / 選択性逆転 / 2級ベンジルアルコール |
Research Abstract |
2級ベンジルアルコール類から生成するプロキラルベンジル型カチオンと、τ-ブチル基をもつケトエステルのジアステレオ面選択的反応では、触媒によりジアステレオ選択性の逆転が見られた。すなわち、ニトロメタン中Hf(OTOf)_4やTfOH触媒反応では(RS,SR)体を与え、遊離状態のカルボカチオンとケトエステルの立体的な相互作用による選択性発現が説明された。一方、Yb(OTf)_3触媒では(RS,RS)体を与えた。この選択性逆転は、置換基の相互作用からは説明が出来なかった。このことからYb(OTf)_3はカルボカチオンの反応面制御を実現する触媒として注目し、検討を行った。 ニトロメタン中、Cu、In、Sn、Hf、Biトリフラートなどの触媒は(RS,SR)体を与えた。Ceを除く、Sc、Y、LaからLuの希土類トリフラートは(RS,RS)体を与えることが分かった。さらに希土類の原子番号順に選択性が徐々に変化していた。また、Yb(OTf)_3、Yb(NTf_2)_3、YbBr_3はいずれも(RS,RS)体を主生成物として与えた。これは、ジアステレオ選択性の逆転が希土類ルイス酸の特異な作用であることを強く示唆している。 Yb触媒を用い溶媒の検討を行った結果、極性の高いニトロメタンを用いると収率と選択性が最も高く、(RS,RS)体を与え、極性が比較的低い、クロロホルムや酢酸エチル中では、収率と選択性は低下した。一方、イオン性液体中ではYb触媒を用いても、(RS,SR)体を与えた。 原料に、ラセミ又は、光学活性アルコールを用いた反応検討では、ジアステレオ選択性もほとんど変わらず、エナンチオ選択性も見られなかった。 現在、希土類-カチオン、希土類-ケトエステル相互作用や、希土類金属上でのカチオンとケトエステルのイオンペアー経由の反応などの可能性を考慮し、外部配位子の添加などによる反応制御を検討中である。
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