2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790016
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野地 匡裕 Meiji Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (80312073)
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Keywords | プロキラルカルボカチオン / 1, 3-ケトエステル / ジアステレオ面選択的反応 / 希土類トリフラート / キラルイオン性液体 / 反応面制御 |
Research Abstract |
反応性に富むカルボカチオンは平面構造をしており、面選択的な求核試薬の反応を起こすことが出来れば、新たな反応制御法となる。我々はプロキラルカチオンが非対称の1, 3-ジカルボニル化合物と高いジアステレオ選択性で反応することを見出しており、選択性発現の機構解明と制御を目的に検討を行い、以下のような結果を得た。 1 プロキラルベンジルカチオンの置換基の違いにより、ジアステレオ選択性が逆転した生成物を得た。これら2種類のアルコールを共存させた反応では、一方のアルコールのみの反応が進行した。さらにその選択性は単独で反応を行った時よりも向上した。この結果は、アルコールを添加剤として用いることでジアステレオ選択性を制御できる可能性を示唆している。 2 ジアステレオマーの分子軌道計算の結果では、ジアステレオマーのメジャー生成物のほうが熱力学的に安定であることが示された。加えて、マイナー生成物とメジャー生成物の間では異性化がほとんど起こらないことが明らかになった。この結果は、カチオンと非対称1, 3-ジカルボニル化合物のジアステレオ選択的反応は、速度論的な支配で選択性が誘起されていることを示唆している。 3 キラルなイオン性化合物とのイオン的相互作用による、プロキラルベンジルカチオンのエナンチオ選択的反応の検討を行った。様々なカチオン部位と光学活性スルホン酸から成るイオン性化合物を各種合成し、プロキラルベンジルカチオンを経由する反応における添加剤として利用した。わずかながらエナンチオ選択性の発現が見られた。 4ベンジルカチオンとフランの反応生成物を利用した有用化合物の合成および、キラルなカルボカチオン前駆体としてベンジル位に水酸基を持つインドール化合物の合成行った。
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