2006 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族アミドの立体特性を利用した新規不斉球状分子の創製
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18790021
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
桝 飛雄真 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (80412394)
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Keywords | 有機化学 / 分子認識 / 不斉合成 / 機器分析 / 三次元構造 |
Research Abstract |
本研究は、分子デザインにおける不斉なスキャッフォールドとして用いる新規球状分子群の創製を目的とする。そのために、芳香族アミドの立体特性を利用した球状分子の効率的な合成法の確立と、多様な立体特異的反応に対応する分子ライブラリーの構築、及び機能材料ビルディングブロックとしての芳香族アミドの基礎研究を行うものである。 Ph_3PCl_2を用いた芳香族アミノカルボン酸の縮合反応を利用し、芳香族アミド四量体を基本骨格とした新規不斉球状分子を合成した。従来、同様の化合物の合成には保護・脱保護を含む多くのステップを要したが、我々はニトロ基の直接アルキル化やCurtius転位などを用いることで、ステップを大幅に削減することに成功した。なおこの球状分子には四つの構造異性体が考えられるが、現在までのところ二つの異性体について合成ルートを確立した。 得られた球状分子を、キラルHPLCによって光学分割した。単結晶X線構造解析によって、ラセミ体及びエナンチオマーの結晶構造を明らかにすることができた。これらは結晶の内部にチャンネル構造もしくは不斉な空孔を有しており、限定された空間にゲスト分子を取り込むことによるスキャッフォールド効果が期待される。 また、同様に芳香族アミドで構成されるパラ置換芳香族アミド三量体を合成し、ランタニド金属塩との錯体形成を行った。得られた錯体結晶中では、アミドのカルボニル酸素が金属カチオンに配位し、無限連鎖したネットワーク構造をとる。さらにこのネットワークが三次元的に積層することで、チャンネル構造が形成されることがわかった。これらの知見は球状分子にも応用できると考えられ、錯体を使った不斉反応場の構築が期待される。 今後、残る二つの球状分子の異性体の合成を早急に進めると共に、置換基修飾による各種リガンドとのカップリングの適合性を調べ、スキャッフォールドとしての最適化を行う。
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Research Products
(1 results)