2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790023
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 浩輔 北海道大学, 大学院薬学研究院, 助手 (70415686)
|
Keywords | 遺伝子損傷 / 検出試薬 / 蛍光 / 核酸 / 生体分子 / 有機化学 |
Research Abstract |
本研究では最終的に脱塩基損傷のみならず、生体内に生じる数十種類以上の遺伝子の損傷を別個に、より正確に定量することを目的としている。本年度は選択的に反応する試薬のデザインと合成を行った。その中で、SH基とNH_2基をもつ化合物が当初の目的とする2-デオキシリボノラクトンのみならず、放射線などにより生じる酸化損傷の一つである、5-ホルミルウリジンと高い反応性で反応することを明らかとした。また、この化合物の化学構造に関して検討を行った結果、電子共役構造をもつ化合物が5-ホルミルウリジンと化学反応し、蛍光を発するという興味深い性質を有することを明らかにした。このような性質は他に類をみないものであり、種々の反応への応用も期待される。そこで、この反応後の化合物について、より詳細に検討したところ、この反応後の化合物が塩基性溶液中で紫外吸収スペクトルが変化し、より強い蛍光を発することを見出した。この化合物はオリゴヌクレオチド中の5-ホルミルウリジンと反応しても、そのオリゴヌクレオチド鎖の切断は生じないと考えられる。さらに、反応することではじめて蛍光を発する性質は蛍光検出の際に大きな問題となる、蛍光のバックグラウンド値をなくすことができる。また、反応していない過剰の化合物は蛍光を発しないため、従来の蛍光試薬と異なり、分離操作を必要としない、より簡便な検出法となると考えられる。現在、さらに蛍光を強めるための新規試薬のデザインと合成を行っている。 また、一方でオリゴヌクレオチド中の5-ホルミルウリジンに対する反応性を評価するために、化学的に5-ホルミルウリジンをオリゴヌクレオチド中に導入するためのユニットの合成を行った。オリゴヌクレオチドを合成次第、その評価に入る予定である。また、その化合物の選択性を確認するために脱塩基損傷をオリゴヌクレオチドに導入するためのユニット合成も同時に行った。
|