2008 Fiscal Year Annual Research Report
温度制御による結晶化を利用したDNA薬剤に関するX線結晶解析
Project/Area Number |
18790030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
茶竹 俊行 Kyoto University, 原子炉実験所, 准教授 (30383475)
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Keywords | 核酸 / 薬剤 / 放射線・X線・粒子線 / 結晶化 |
Research Abstract |
研究最終年度である20年度は、結晶化技術の完成とそれに基づいた応用実験を行った。本研究の基盤である温度制御による結晶化について熱力学的な考察を行い、結晶化におけるエンタルピーの測定とDNA開裂が起こる温度の決定を行うことにより温度と結晶成長の相関を求め、本結晶化法の科学的な証明を行った(論文を学術誌に投稿中)。また、本技法により得られたDNA d(CGCGCG)結晶の品質は従来の結晶化法を凌いでおり、超高精度解析(dmin=0.90Å, Rmerge=3.3%, Rfactor=9.8%)での解析に成功した。さらに、塩強度によるDNAの構造変化を極低イオン状態(Na+40mM)と極高イオン状態(Ca2+, Mg2+500mM)で行うことに成功し、これまでに内特殊な立体構造を発見した(論文執筆中)。この結晶化技術を用いてDNA薬剤のモデルとして期待されているDNA酵素DNAzymeの結晶化を行った。結晶化に使用したDNAzymeは、これまでに発見されているDNAzymeの中で最もシンプルな構造を有しているDR31-DR17型(31baseと17baseの組み合わせ)と8-17型(30baseと17baseの組み合わせ)である。両方のサンプルで、65℃から25℃へのDNA溶液冷却を5℃/dayで行うことにより、0.2x0.05x0.05mm3程度の結晶を得ることに成功した。今後は、放射光によるX線回折実験を行い、結晶がDNAzymeであることを確認してX線データの収集を行い、構造解析を進めていく予定である。
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