2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞指向性脂質微粒子キャリアーの粒子設計およびその安定性に関する分光学的解析
Project/Area Number |
18790032
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
武上 茂彦 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70298686)
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Keywords | 脂質微粒子 / 薬物キャリアー / 粒子径 / 補助的界面活性剤 / 動的光散乱法 / 主成分分析法 / 核磁気共鳴法 / 血清アルブミン |
Research Abstract |
本研究はDrug Delivery System製剤として、従来の大豆油およびホスファチジルコリンから構成される脂質エマルションを、補助的界面活性剤を利用してサイズダウンし、熱・長期・血中安定性に優れた粒子径50nm程度の癌細胞指向性脂質微粒子キャリアー(ナノリポソームや脂質ナノエマルション(LNE))を開発することを目的としている。そこで本年度は、LNEの作製および粒子安定性、封入した薬物の動態について、分光学的手法を用いて研究を行い、以下の成果を得た。 1、目的とする粒子設計を行うため、動的光散乱法による粒子径測定から、種々の界面活性剤の検討を行った。その結果、パルミチン酸ナトリウムおよびショ糖パルミチン酸エステルを補助的界面活性剤として混合乳化することにより、比較的安定な粒子径約50nmのLNEを作製することができた。 2、光線力学的治療法への適用が期待されているアルミニウムフタロシアニン(AlPC)は二量体を形成しやすく、治療効果に影響を及ぼす。そこでLNE中でのAlPCの分子状態について、可視吸収スペクトルに主成分分析法を適用して検討した。その結果、AlPCがLNE中で単量体に対し一定量の二量体を形成していることを明らかにした。 3、血清タンパクの影響により、薬物キャリアーからの薬物の遊離が問題視されている。そこで、分子内にCF_3基を持つフルタミドやニルタミドを封入したLNEからの薬物漏出におけるウシ血清アルブミン(BSA)の影響について、^<19>F NMRを用いて検討した。その結果、LNE中に封入した両薬物の^<19>F NMRシグナルの変化から、薬物とBSAが強く相互作用していることを明らかにした。 今後、本年度の研究で見出された問題点を解決し、設計した脂質微粒子キャリアーが癌細胞に取り込まれることを、NMR等を用いて実証したいと考えている。
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