2006 Fiscal Year Annual Research Report
NMDAレセプターチャネルのメンブラントラフィック機構
Project/Area Number |
18790051
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中道 範隆 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (10401895)
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Keywords | 脳・神経 / 脳神経疾患 / シグナル伝達 / 神経科学 / 薬理学 |
Research Abstract |
ラット大脳皮質由来初代培養神経細胞をCa^<2+>感受性蛍光指示薬に負荷したのち、NMDAに継続的に曝露したところ、少なくとも1時間は同程度の強さで持続的な蛍光強度上昇が観察された。しかしながら、5分間のNMDA刺激後、細胞を洗浄してから25分間静置し、再び同濃度のNMDA刺激を行うと、2回目の刺激による蛍光強度上昇は1回目の刺激時よりも著明に減弱された。そこで次に、今回観察されたNMDA刺激に伴う蛍光強度の減弱が、細胞膜上のNMDA受容体数減少に起因するのかを検討した。NMDA刺激前後の細胞膜表面をビオチン標識してから、アビジンビーズを用いてビオチン標識された蛋白質を回収し、NRサブユニット抗体を1次抗体とするウエスタンブロット解析を行った。その結果、ビオチン標識されたNR1、NR2AおよびNR2B抗体陽性蛋白質の発現量は、NMDA刺激前と比較してNMDA刺激終了直後では有意な変化は見られなかったが、NMDA刺激終了25分後では、細胞膜上のいずれのNRサブユニット発現量も有意に減少することが判明した。さらに、NR1の細胞外ドメインを認識する抗体を用いた膜透過処理を行わない免疫染色によっても、NMDA刺激終了直後では刺激前と同程度の免疫応答性が見られたが、NMDA刺激終了25分後では著明な細胞膜上のNR1抗体陽性反応の低下が確認された。以上の結果より、ラット大脳皮質由来初代培養神経細胞では、アゴニストが結合することによってではなくアゴニストが解離することによって開始されるNMDA受容体チャネルの細胞質内へのインターナライゼーションに伴う細胞膜表面上の受容体数減少に起因する脱感作が出現する可能性が示唆される。
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