2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存の形成機序の解明ーマトリクスメタロプロテアーゼの関与ー
Project/Area Number |
18790052
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
溝口 博之 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70402568)
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Keywords | 薬物依存 / 覚せい剤 / ドパミン / MMP / TIMP / ドパミン受容体 / ドパミントランスポーター |
Research Abstract |
覚せい剤の一つであるメタンフェタミン(methamphetamine, METH)と麻薬性鎮痛薬であるモルヒネに共通した薬物依存の形成機構を解明するために、各々の薬物を連続投与したラット脳における遺伝子発現の変化をDNAアレイを用いて網羅的に解析した。その結果、細胞外マトリックスプロテアーゼ関連タンパクが大きく変動している事が示された。そこで、細胞外マトリックスプロテアーゼの一つであるmatrix metalloproteinase-2(MMP-2),MMP-9およびその抑制因子tissue inhibitor of MMP-2(TIMP-2)の薬物依存への関わりについて検討した。その結果、METHの連続投与により、脳内MMP-2、MMP-9、TIMP-2の発現が増加することを初めて見出した。MMP-2およびMMP-9遺伝子欠損マウスでは、METHの行動感作や報酬効果が減弱していることが示された。さらに、MMP/TIMPシステムはドパミントランスポーター(DAT)やドパミン受容体機能の調節を介してMETHによる細胞外ドパミン量の増加を増強することにより、METHによる行動感作や報酬効果の調節に関与している可能性を明らかにした。すなわち、METHの連続投与は生体内におけるMMPの制御機構の破綻を導き、MMP-2およびMMP-9活性が異常に増加して神経可塑性に影響を及ぼし、遷延性の行動異常・精神障害を引き起こす可能性を見出した。
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