2007 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学的知見に基づいた耐熱性ブレオマイシンアセチル化酵素の創生と医療応用
Project/Area Number |
18790054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
的場 康幸 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90363051)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶構造解析 / ブレオマイシン / 医療応用 |
Research Abstract |
抗癌剤ブレオマイシン(Bm)を産生するStreptomyces verticillusは自己耐性因子のひとつとしてBmN-アセチルトランスフェラーゼ(BAT)を保有している。本酵素は,アセチルCoA存在下でBmのβ-アミノアラニン部をアセチル化し,そのDNA切断活性を消失させる。前年度の研究成果として,BATの三次元構造を決定することに成功し,BATと基質であるBm及びアセチルCoAとの結合様式を明らかにした。一方,酵素反応速度論的解析の結果,高濃度のB_m存在下でBATの活性が顕著に阻害されることが判明している。本研究では,BATを用いて迅速に血中Bm濃度を計測するシステムを開発したいと考えているが,基質阻害が起こってしまうとBmの濃度とBATあ酵素活性が相関しなくなる。そこで,基質阻害メカニズムを明らかにするとともに,部位特異的変異導入法を用いてBATの酵素学的諸性質を改善することを目的とした。 BmやアセチルCoAとの結合に関与する残基に変異を導入し,速度論的解析を行った。その結果,Bmに対する親科性が減少するように変異を導入した場合,基質阻害が解消された。さらに,酵素反応産物であるCoAの放出を促進するように改変した変異体では,基質阻害が解消されるとともに,大幅に触媒効率が増加した。これらの結果から,(1)酵素反応が効率的に進行するためには,2つの反応産物のうち,CoAの方がアセチル化されたBmよりも先に放出される必要があること,(2)高濃度のBm存在下では,CoAの放出に先立って,基質であるBmが結合してしまい,デッドエンド型の三者複合体を形成するために基質阻害が起こることが推察される。
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Research Products
(3 results)