2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790056
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
美馬 伸治 熊本大学, 薬学部, 助手 (50398244)
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Keywords | アスピリン / NSAIDs / 抗炎症薬 / 抗がん剤 / クロージン2 / 過剰発現 / 大腸がん / 胃がん |
Research Abstract |
アスピリンに代表される非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)は、抗炎症薬、鎮痛薬、解熱薬として、世界中で最もよく処方されている医薬品である。一方疫学調査から、NSAIDsの長期使用により、多くのがん(大腸がん、胃がんなど)の発症リスクが低下することが知られている。実際米国では、がんの治療薬、及び再発予防薬として、NSAIDsが臨床現場で使われている。NSAIDsは他の抗がん剤とは違う作用機序を持っていると考えられるので、特に他剤との併用で顕著な抗がん作用を示す。またこれまで大変よく使用されてきたので、その副作用などが充分理解されているという利点もある。このようにNSAIDsは新しいタイプの抗がん剤として、現在最も注目されている医薬品の一つである。 NSAIDsは様々な作用機序(アポトーシス誘導、細胞増殖抑制、血管新生阻害、転移・浸潤抑制)により、抗がん作用を発揮すると考えられているが、その分子機構はあまり理解されていない。そのため、より抗がん作用の強いNSAIDsの開発戦略は確立されていない。本研究の目的は、NSAIDsの抗がん作用機構を分子レベルで解析し、より抗がん作用の強いNSAIDsを発見することである。 本年度我々はNSAIDsがクロージン2の発現を抑制することを見出した。また癌細胞でクロージン2を過剰発現させると癌細胞の浸潤能が上昇すること、逆にクロージン2の発現を抑制すると癌細胞の浸潤能が低下することを見出した。以上の結果は、NSAIDsの抗がん作用にクロージン2の発現抑制が深く関与していることを示唆している。
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