2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性ホスホリパーゼA2発現を調節する新規リン脂質由来生理活性脂質の同定
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18790066
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑田 浩 昭和大学, 薬学部, 助手 (80286864)
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Keywords | IIA型分泌姓PLA_2 / 細胞質PLA_2α / カルシウム非依存性PLA_2 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
本年度は,.炎症性サイトカイン刺激により誘導されるIIA型分泌性ホスホリパーゼA_2(sPLA_2-IIA)のの発現を調節する脂質性因子(Lipid Xの生合成経路の検討を行った。spLA_2-IIAの遺伝手誘導が、細胞質PLA_2(cPLA_2α)の阻害剤であるアラキドニルトリフルオロメチルケトン(AACOCF_3)により抑制されることから、このLipid X産生にcPLA_2αの関与を考え、cPLA_2αのsiRNAを用いてcPLA_2αノックダウン細胞(cPLA_2α-KD)を樹立した。cPLA_2α-KD細胞は、cPLA_2α依存的な反応であるカルシウムイオノフォア刺激により惹起される即時的PGE_2産生が顕著に抑制されたにもかかわらず、サイトカイン刺激によるsPLA_2-IIAの誘導は抑制しなかった。また、本細胞におけるsPLA_2-IIAの誘導は、AAcocF_3処理により顕著に抑制されたことから、この誘導にはAACOCF_3感受性のcPLA_2α以外のPLA_2が関与している可能性が考えられた。,そこで、細胞内PLA_2であるCa非依存性pLA_2(iPLA_2)がこの候補分子である可「能性を考え、3Y1細胞に内在的に発現しているiPLLA_2分子種の同定をノーザンブロット法で検討した。その結果、本細胞にはiPLA_2βおよびiPLA_2rが発現していることが明らかとなった。これらのリコンビナントタンパク質をSf9細胞で作製し、これらの酵素活性に対するAACOCF_3の効果を検討したブ果、AACOCF_3は両iPLA_2酵素活性を抑制することが明らかとなった。iPLA_2β阻害剤である(S)-BELおよびiPLA_2γ阻害剤である(R)-BELのsPLA_2-IIA発現に対する効果を検討した結果、sPLA_2-IIAの誘導は(R)-BELの添加により、顕著に抑制された。さらに、iPLA_2γノックダウン細胞を作製し、sPLA_2-IIA発現誘導に対する効果を検討した結果、本細胞におけるsPLA_2-IIAの誘導が著しく抑制されるととが明らかとなった。従って、の誘導にcPLA_2αではなく、iPLA_2γが関与していることが示唆された。以上の結果より、炎症性サイトカイン刺激後、iPLA_2γ依存的な経路によりLipid Xが合成され、これがsPLA_2-IIAの誘導を調節している可能性が考えられた。(2006年12月投稿中)
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