2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規核タンパク「ちび」による癌抑制と細胞内情報伝達機構
Project/Area Number |
18790068
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山口 真二 Teikyo University, 薬学部, 助教 (60398740)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞間の情報伝達を制御するWnt情報伝達経路は様々な形態形成に関与するのみならず、過剰に活性化されると癌化につながる。代表者らは、「ちび」がWnt経路のみならずHedgehog(Hh)経路においても抑制因子として機能することを、ショウジョウバエ胚を用いた解析により見出した。Hhは、Wntと互いに協調し合いながら発生を進行させる分泌タンパクで、やはりHh経路が異常に亢進されると細胞は癌化する。興味深いことにHhが作用する細胞では、β-カテニンが発現していない。したがってβ-カテニンとは異なるタンパクが、「ちび」の標的となっていると推測された。 そこで、「ちび」と結合するタンパクを既知のHh経路構成タンパク(Ci,Fused,su(fu),Cos2など)に注目し、「ちび」の結合の有無をtwo-hybrid解析により検討した。その結果、「ちび」はCiと結合するがsu(fu),Cos2とは結合しないことが明らかとなった。また、「ちび」が確かにCiと結合することをin vitroでbinding assayにより確認した。「ちび」はCiと結合し、Hh経路において抑制因子として機能していると考えられた。さらに遺伝学的方法により、Hh経路で機能する既知の遺伝子との上流下流の関係を決定した。すなわち、1.「ちび」のRNAiによる遺伝子抑圧によりWgの発現が上昇した。「ちび」はWgの上流にあり、Hh経路にも関わっていた。2.engrailed,smoothenedの変異体胚で「ちび」遺伝子の抑圧を行い、engrailedとsmoothenedの下流で「ちび」が作用していることを示した。遺伝学的にも生化学的にも「ちび」がHh経路での抑制因子として機能することが明らかとなった。
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