2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬の標的分子であるカルシニューリンを介する細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
18790071
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
喜多 綾子 近畿大学, 薬学部, 助手 (00388498)
|
Keywords | カルシニューリン / 免疫抑制薬 / 細胞内輸送 / バルプロ酸 / MAPキナーゼ / ファルネシル転移酵素 / 低分子量Gタンパク質 / 分裂酵母モデル生物 |
Research Abstract |
哺乳類に極めて近い細胞内情報伝達経路をもつ分裂酵母をモデル生物として用いて、カルシニューリンの特異的阻害薬である免疫抑制薬FK506に対して感受性を示す変異体を取得し、これらの変異体の原因遺伝子群を同定した。つまり、カルシニューリンと機能的に関連する分子の機能を明らかにすることにより、カルシニューリンを介するシグナル伝達機構を明らかにしょうと試みた。 成果として、新規免疫抑制薬感受性変異体原因遺伝子として、低分子量Gタンパク質シグナルを制御するRab GDP-dissociation inhibitorをコードするgdi1遺伝子を同定した。gdi1変異体においては、Ypt3やRyh1の機能が低下すること、電子顕微鏡観察におけるgdi1変異体の細胞内輸送における異常、さらにホスファチジルコリン/ホスファチジルイノシトール転移酵素であるspo20との遺伝学的関係を明らかにした。 さらに、免疫抑制薬感受性遺伝子としてゴルジからの細胞内輸送に関わるVps45を同定した。驚いたことに、Vps45は、抗てんかん薬であるValproic acidに対する感受性を示すこと、細胞内輸送に異常を示す変異体はValproic acidに超感受性を示すことが明らかとなった。さらにValproic acidが、糖鎖修飾に影響を与えることにより、細胞内輸送の分泌を阻害するという画期的な成果を得た。 また、カルシニューリンとMAPキナーゼシグナルの拮抗的な関係を利用して、MAPキナーゼ経路において機能する遺伝子として、ファルネシル転移酵素であるCpp1を同定し、さらにCpp1が低分子量Gタンパク質であるRho2を介してPmk1 MAPキナーゼにシグナルを伝達するという成果を得た。
|