2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリア原虫における膜輸送関連蛋白質の同定と機能解析
Project/Area Number |
18790074
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
八代 聖基 就実大学, 薬学部, 助手 (90399155)
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Keywords | マラリア原虫 / 小胞輸送(膜輸送) / 膜融合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究課題は「熱帯熱マラリア原虫における膜輸送蛋白質の同定と機能解析」と題し、特にヒト・マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の赤血球内寄生時における原虫外膜系の形成機構と血球膜へのタンパク輸送機構を分子(蛋白質)レベルで解明することを目的として研究を遂行している。 今年度はその中でも特に液胞型ATPase (Vtype-ATPase)についてデーターベースを用いた解析を行った。その結果、熱帯熱マラリア原虫のV-ATPaseのサブユニット構成は他の真核生物同様13個のサブユニットからなっている事が明らかとなった。しかし、それら構成サブユニットのうちの幾つかにはホモローグが存在するが、それがゲノム上に見あたらないものがあった(例:VoのC"サブユニット)。これは、マラリアのV-ATPaseのサブユニット構成一部が他の真核生物(特にヒト)とは異なる可能性があることを示しており、抗マラリア薬開発の糸口になる可能'性もあるため、今後も詳細な解析を続けていく。 さらに、膜輸送という概念を広く理解するためにマラリアより解析が比較的容易である真核生物における小胞(特にマイクロベシクル)輸送、もしくは膜輸送系が担う生理作用を検討解析した。その結果、膜輸送系を用いて小胞ヘグルタミン酸を取り込む働きを持つ、小胞型グルタミン酸輸送体の構造と輸送機能の詳細な理解(研究発表論文1番目)と、そのグルタミン酸が小胞を介して輸送され骨の分解・吸収に関与している(研究論文2番目)という結果を見いだすにいたっている。今後これらのデータをマラリア原虫の膜輸送系へとフィードバックしていくことによって理解を深め研究を進めていく。
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