2008 Fiscal Year Annual Research Report
klotho蛋白質の発現低下によるカルパインの異常活性化機構の解明
Project/Area Number |
18790079
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
萬谷 博 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (20321870)
|
Keywords | klotho / calpain / 老化 / 糖鎖 |
Research Abstract |
klotho変異マウスは多彩な老化症状を呈することから、klotho遺伝子が老化の制御に深く関与していると考えられている。これまでに、klotho変異マウスの腎臓と肺におけるμ-calpainの異常活性化による細胞骨格系の分解が腎および肺障害の原因であることを示してきた。腎臓と肺以外の器官についてμ-calpainの活性化を詳細に調べた結果、8週齢頃から心臓で活性化が亢進することが分った。Klotho変異マウスの寿命は約9週であり、心不全による突然死が報告されている。Klotho変異マウスでは3週齢頃より動脈硬化など異所性の石灰化が進行する。Μ-calpainはカルシウムにより活性化されることから、動脈硬化から心不全に至る過程に、心筋あるいは冠動脈におけるカルシウム濃度上昇によるμ-calpainの異常活性化が関わっていると考えられる。今後、内在性阻害物質のcalpastatinや活性阻害化合物を利用してμ-calpainの活性を制御することで、動脈硬化による心不全の予防などへの応用が期待できる。また、klotho蛋白質は糖分解酵素に相同性があることがら糖分解酵素として機能する可能性も指摘されているが、生体内における糖分解酵素としての具体的な作用点や基質に関してはほとんど分かっていない。これまでに、klotho変異マウスの肺と腎臓で特異的に増加する糖鎖があることを見いだしており、現在、異常糖鎖の詳細な構造解析を試みている。
|