2006 Fiscal Year Annual Research Report
変異酵素の構造安定化に基づいたリソソーム病治療薬の開発
Project/Area Number |
18790086
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
加藤 敦 富山大学, 附属病院, 助教授 (60303236)
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Keywords | リソソーム病 / イミノ糖 / ケミカルシャペロン / 小胞体品質管理機構 / グリコシダーゼ |
Research Abstract |
Gaucher diseaseは、リソソーム酵素であるβ-glucocerebrosidaseの遺伝的活性低下に起因するリソソーム病の1つである。本疾患のうち亜型では、酵素の合成には異常は認められないが、正しい三次元構造をとれないことが疾患の発症原因の1つとされている。従って本年度では、まず正しい三次元構造がとれない不安定な変異酵素を安定化させうる化合物を探索するとともに製剤化を目指したデザインを行うことを目的とした。初期スクリーニングの結果、ノルトロパンアルカロイドであるcalystegineやピペリジン型のイミノ糖に活性部位指向的なケミカルシャペロン効果が確認された。このうち、代表的なピペリジン型イミノ糖である1-deoxynojirimycin(DNJ)のN-アルキル誘導体N-nonyl-DNJ(NN-DNJ)はβ-glucocerebrosidaseに対しKi値が0.30μMと強い親和性を示す優れた化合物であった。しかしながらNN-DNJは、β-glucocerebrosidaseだけでなくα-glucosidaseに対しても強い親和性を示すことが明らかとなり、実用化に向けては、いかにβ-glucocerebrosidaseに対する選択性を高めるかという新たな課題が出てきた。そこで、アルキル側鎖を導入する位置をDNJの窒素原子ではなくアノメリック位(C-1α)に変え同様に検討したところ、α-1-C-octyl-DNJではKi値が0.28μM、α-1-C-nonyl-DNJではKi値が0.20μMとC-1α位のアルキル側鎖の延長に伴ってβ-glucocerebrosidaseに対する強い親和性が増し、選択性もN-アルキル誘導体よりも優れていることが明らかになった。今後更に選択性を増す化学的修飾を行うとともに、これら化合物がケミカルシャペロンとして細胞内で適切に機能するか否かについて検討を行っていく予定である。
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