2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内光学異性化を起こすα-キラルカルボン酸の含フッ素等価体の合成と創薬への展開
Project/Area Number |
18790087
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤原 朋也 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (70361962)
|
Keywords | 光学異性化 / フッ素 / 安定型等価体 / サリドマイド / チアゾリジンジオン / インスリン抵抗性改善薬 / α-アリールアルカン酸 / 非ステロイド性抗炎症薬 |
Research Abstract |
α-キラルカルボン酸類(1)の光学活性体はしばしば生体内で光学異性化を起こす.そのため,それらの厳密な薬理活性は不明である.今回,異性化を起こさず,かつ1の生物学的等価体となりうる分子として,異性化に関与する水素をフッ素で置換した等価体を設計し,それらの合成,薬理活性,および薬物動態の調査を目的として以下の検討を行った. 1.サリドマイドのグルタルイミド部に水酸基を持つ代謝物の含フッ素等価体の合成を目的として,安価な市販品を出発原料として十数工程で全ての官能基が保護されたフッ素化前駆体を得た.これらを塩基処理後,FClO_3またはN-フルオロベンゼンスルホンイミドで処理したところ,グルタルイミド部4位に水酸基を持つ前駆体についてはフッ素化が進行せずに脱保護等の副反応が起こったが,5位に水酸基を持つ前駆体については対応するフッ素化体が高収率で得られた.現在,得られたフッ素化体から目的の含フッ素等価体への変換を検討中である. 2.チアゾリジンジオン類の含フッ素等価体の合成を目的として,ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンを塩基処理後,FClO_3を用いてフッ素化したところ,複雑な混合物が得られた.そこで,チアゾリジンジオン環のイミド窒素をベンジル基,p-メトキシベンジル基で保護した化合物を用いてフッ素化を行ったところ,対応するフッ素化体が中程度の収率で得られた.しかしながら,得られたフッ素化体の脱保護は不成功に終わった.現在,他の保護基を用いて上記と同様の検討を行っている. 3.α-アリールアルカン酸類の含フッ素等価体の合成を目的として,当研究室で開発されたα-アリール-α-フルオロプロピオン酸の合成法を用いて,α位にエチル基,イソプロピル基,およびベンジル基を持つα-アリールアルカン酸の含フッ素等価体の合成および光学分割に成功した.現在,得られた光学活性体の薬理活性を探索中である.
|