2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショックタンパク質による芳香族炭化水素レセプター転写活性化制御の可能性
Project/Area Number |
18790100
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 卓巳 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (10301342)
|
Keywords | 芳香族炭化水素 / ダイオキシン類 / レセプター / 機能制御 / ブロテアソーム阻害 / 熱ショックタンパク質 |
Research Abstract |
ダイオキシン類は、現在でも環境中に広く分布する汚染物質の一つである。ダイオキシン類の毒性発現には、細胞の可溶性画分に存在するリガンド依存性の転写因子である芳香族炭化水素受容体(AhR)が深く関与していると考えられている。このため、本受容体の活性化、転写制御、並びに分解に関して多くの研究報告がなされているが、その詳細については未解明な点も多い。申請者らは、ダイオキシン類の毒性軽減を目的として、熱ショックタンパク質(HSP70)によるAhRの活性化制御の可能性について検討を行った。その結果、プロテアソーム阻害剤であり、かつHSP70の誘導剤であるN-acetyl-leucyl-leucyl-norleucinal(ALLN)が、AhRの転写活性化に影響を与えることなく、AhR依存的な機能性タンパク質の発現増加を有意に低下させることが明らかにした。本年度は、この機構を明らかにするたあT471D細胞中にHSP70の発現ベクターを導入し、その過剰発現株の構築を試みた。しかし、HSP70の恒常的な発現量が多いため、そのフィードバック作用の影響で過剰発現の実現にはいたらなかった。そこで、ALLNによりHSP70過剰発現状態を構築し、それにHSP70の機能の阻害剤であるgentamycinを処理してAhR依存的なタンパク質増加に及ぼす影響を観察したが、コントロール状態と比べ変化は認められなかった。一方、プロテアソーム阻害剤であるlactacystinを処理した場合、ALLNの場合と同様、リガンド依存的なAhRを介したタンパク質の増加に対して有意な抑制が観察された。以上の結果から、AhRは、プロテアソームにより転写活性化に影響を及ぼすことなく、レセプター依存的な機能性タンパク質の発現に対して制御を受ける可能性が示唆された。
|