2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790104
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
藤原 泰之 Aichi Gakuin University, 薬学部, 准教授 (40247482)
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Keywords | ヒ素 / 亜ヒ酸 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 動脈硬化症 / ビスマス |
Research Abstract |
本研究の目的は,血管内皮細胞および血管平滑筋細胞のプロテオグリカン合成に対するヒ素の作用を明らかにし,プロテオグリカンの代謝異常の観点からヒ素による血管毒性発現メカニズムにアプローチしようとするものである。前年度には,三価の無機ヒ素化合物である亜ヒ酸が血管内皮細胞および血管平滑筋細胞のプロテオグリカン合成を非選択的に阻害することを見いだした。平成19年度は,この亜ヒ酸の阻害作用を修飾する因子の検索を行い,以下の知見を得た。 血管内皮細胞において,亜ヒ酸とビスマスが共存した場合,亜ヒ酸による細胞層画分と培地画分に蓄積したプロテオグリカンへの[35S]硫酸の取り込み阻害がビスマスによって濃度依存的に有意に軽減されることを見いだした。このような軽減作用は,亜鉛,マンガン,ニッケルおよびコバルトなどの重金属においては認められなかった。血管内皮細胞が産生した[35S]硫酸標識プロテオグリカンをDEAE-Sephacel陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離したとき,亜ヒ酸はヘパラン硫酸プロテオグリカン画分およびコンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカン画分への[35S]硫酸の取り込みを共に阻害した。また,これらの阻害作用はビスマスにより有意に軽減された。ビスマス単独処理によるプロテオグリカンへの[35S]硫酸の取り込みの有意な増加は認められなかった。以上の結果より,ビスマスが血管内皮細胞に対する亜ヒ酸のプロテオグリカン合成阻害作用を軽減する特異な重金属であることが示唆された。
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