2006 Fiscal Year Annual Research Report
siRNAライブラリーを用いた制癌剤感受性決定因子の網羅的検索とその作用機構解析
Project/Area Number |
18790110
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 勉 東北大学, 大学院・薬学研究科, リサーチレジデント (00400474)
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Keywords | 制癌剤 / テーラーメイド医療 / 遺伝子 / siRNA |
Research Abstract |
癌の化学療法においては、制癌剤に対する反応性や副作用発現の程度には個人差が認められる。また、制癌剤に対する耐性獲得も大きな問題となるが、この耐性癌細胞の発現頻度にも個人差がある。したがって、癌の化学療法の効果を向上させるためには治療の個別化(テーラーメイド治療)の実現が必須であり、そのためには個々の制癌剤に対する感受性を決定する遺伝子群の解析が不可欠となる。そこで本研究では、siRNAライブラリーを利用して、発現抑制(ノックダウン)することによって制癌剤感受性に影響を与える遺伝子群の網羅的検索法の確立を目指した。本法に用いたsiRNAライブラリーは約50,000種のヒト遺伝子転写産物を一つずつ発現抑制することが可能なため、制癌剤感受性に影響を与える遺伝子群を、その機能を指標として網羅的に検索することができる。まず制癌剤(アドリアマイシンおよび亜ヒ酸)の処理濃度や処理時間などを検討し、スクリーニングに最適な条件を決定した。次にレンチウイルス感染法によりsiRNAライブラリー発現ベクターをヒト胎児腎由来HEK293細胞に導入後、抗生物質puromycin存在下で培養することによって、siRNAライブラリーが安定的に導入されている細胞群を得た(siRNA発現ベクターはpuromycin耐性マーカーを有している)。得られたsiRNAライブラリー導入HEK293細胞を親株において顕著な生育抑制が認められる濃度の制癌剤存在下で培養し、数種類の耐性細胞を得ることに成功した。今後、得られた耐性細胞からsiRNAを回収し、制癌剤感受性決定因子の同定を行い、その一部については作用機構を解析していく予定である。
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