2006 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性リンパ管内皮細胞株の樹立及び組織アレイによる腫瘍リンパ管新生分子の検索
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18790114
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小泉 桂一 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (10334715)
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Keywords | リンパ管新生 / リンパ管内皮細胞 / がん / リンパ節転移 / Rapamycin |
Research Abstract |
種々のがん患者の予後を規定する要因であるリンパ節転移のメカニズムについては未だ詳細は明らかとなっていない。最近、VEGF-CやVEGF-Dによるリンパ管新生の惹起に伴うがんのリンパ節転移機序が徐々にではあるが解明されつつある(Tammela T., Petrova TV., and Alitalo K. : Molecular lymphangiogenesis : new players. Trends Cell Biol.,15:434-41,2005.)。しかしながら、これらの研究は、電子顕微鏡等を用いた形態学的なマクロの視点に立った研究が主に進められているのが現状である。従って、リンパ管新生の詳細な細胞・分子レベルでの機序解明の推進において、安定したリンパ管内皮細胞株の樹立が切望されていた。現在までに、リンパ管新生の研究は、電子顕微鏡等を用いた形態学・解剖学的なマクロの視点に立った研究が主に進められている。しかしながら、リンパ管内皮細胞の培養・維持・継代は非常に困難であり、リンパ管内皮細胞を用いた研究は初代培養系で行われている。従って、リンパ管新生の詳細な細胞・分子レベルでの機序解明を推進するにあたり、安定したリンパ管内皮細胞株の樹立が待望されていた。温度感受性SV-40 Transgenicラットは、東北大学加齢研究所所長・帯刀博士によって創出されたラットであり、本ラットの細胞は33℃においては、細胞が不死化するという非常にユニークな特性を有している。今回、分担者は、温度感受性SV-40 Transgenicラットから、リンパ管内皮細胞を単離し、33℃において培養することで、安定したリンパ管内皮細胞株の樹立に世界で初めて成功した。また、これらの細胞は、特殊なゲル上で培養することで、生体内でのリンパ管網を模倣する管腔ネットワークを新生することも確認でき、この現象を利用して、in vitroリンパ管新生評価系の開発を成功したばかりである。現在、この評価系を用いて、リンパ管特異的に発現している遺伝子をgene chipを使用して探索中である。さらに、本評価系を用いた結果、Aktシグナル伝達系の下流に存在するmTORの阻害剤である免疫抑制剤、Rapamycinがリンパ管新生を著名に阻害する事を見いだした。
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